派遣で入社して正社員になる。
偶然が重なって結果的にそうなることができて現在、生産管理部門で係長をしている私です。
現在は、派遣から正社員を目指す人が来て欲しいと切に願う立場です。
その経験から、派遣から正社員になることを目指して実現するまでの最短の流れを解説します。
目次
製造業で派遣から正社員になるまでの流れ
①派遣会社に登録する
↓
②派遣会社と面談する
↓
③派遣会社から求人を紹介してもらう
↓
④事業所との面談に連れて行ってもらう
↓
⑤半年間勤務する
↓
⑥正社員を希望して退職する
↓
⑦正社員となる前提で派遣会社から新たな求人を紹介してもらう
↓
⑧事業所との面談に連れて行ってもらう
↓
⑨本当に社員登用が前提かどうか確認する
↓
⑩勤務しながら正社員になるべきか判断する
↓
⑪勤務しながら正社員になる意思と行動を見せる
↓
⑫事業所ごとの手順を踏んで正社員となる
以上です。
これが最短?
最初の事業所から正社員目指して勤務しないの?
③~⑥はいらないのでは?
そう思って当然です。
しかし、③~⑥は必要です。
経験上偶然そうなった部分ですが、ここが最大のポイントだったと実感しています。
ここを飛ばすことは絶対に無いとは言いませんが、それは最短ルートではなく飛び級です。
私はまず①~③の流れが頭に無かったために時間が掛かりました。
⑧~⑨のところも、派遣から正社員になるメリットを分かっていなかったので一悶着ありました。
実際の私の経験はこちらで紹介しています。
流れそれぞれの項目について、経験を交えて解説していきます。
①派遣会社に登録する
求人広告や求人サイトを見て、具体的な求人案件に応募することが就職・転職活動の基本だと思いがちです。
私もそう考えていた結果、何回かの応募→派遣会社との面談で失敗しました。
時間のロスとなり、精神的にも疲れてしまいます。
まず重要なのは、しっかりとした派遣会社に登録してからスタートすることです。
②派遣会社と面談する
派遣会社の選択が正しければ、スピーディーに派遣会社との面談へと進みます。
派遣会社ごとに色々な形があります。
支店や面談会場へ行く対面での面談、WEB面談、電話面談など。
WEB面談はなるほど便利だなと思います。
私が就職、転職活動をしていた頃には考えられませんでした。
しかし、ここは対面での面談をおすすめします。
直接足を運ぶことで感じる派遣会社の雰囲気や対応の良さ。
これは後々のお互いの信頼関係に繋がります。
ただし、正直私はWEB面談や電話面談を経験していません。
それでも充分感じることができるのかもしれません。
また、いくら大手の派遣会社でも拠点が無数にあるわけではないので、場所によってはWEBや電話は有効な手段でしょう。
この面談では、経歴や経験、希望の勤務地や勤務形態を伝え、しっかり勤務することができる求人を紹介してもらえるようにしましょう。
ここで初めから正社員登用を希望するのも1つの方法です。
しかし、いきなりそれでうまく進むことは難しいと考えます。
派遣会社に紹介を依頼する事業所の立場から考えると、ゆくゆくは正社員となる人材を求めているのであればそれなりの条件を付けています。
なかなか直の求人で良い人材が集まらないからこそ、派遣会社にその選定と紹介を依頼しているわけなので。
そして、派遣会社の立場から考えると、そのような事業所に経歴と面談だけで人材を紹介することはなかなかできません。
事業所の希望に合致した資格を持っているといった、明確なポイントでもない限り。
それが、飛び級だと前述した理由です。
次の③~⑥が結果として、最短ルートへのポイントとなります。
この段階では、まずしっかり勤務することができる求人を紹介してもらう為の面談を行いましょう。
③派遣会社から求人を紹介してもらう
タイミングもあるでしょうが、大手の派遣会社であればここもスピーディーに進む段階です。
それだけ製造業は人材を求めています。
希望と大きく違う求人ではないことを確認して、次の段階へ進みましょう。
④事業所との面談に連れて行ってもらう
事業所との面談は確認程度の簡単なものになります。
これは派遣法で、事業所が派遣会社に紹介された労働者を不採用にすることが禁止されているからです。
人材を選定するのは派遣会社であり、派遣先の事業所ではありません。
この点は、②での飛び級が難しい理由の補足になります。
ここから重要なのは、派遣会社の担当者とコミュニケーションをとることです。
まず事業所へ面談に向かうまでに、色々な話をしましょう。
担当者はプロなので、基本的に相手のペースに乗って話をすれば大丈夫です。
いきなりは難しいですが、先々信頼関係を築くために重要なスタートです。
もし、担当者が自分と合わない、担当者の能力に不安があると感じた場合。
当然表向きは違う理由にして、今回の件は辞退しましょう。
それくらい担当者とのコミュニケーションは先々重要になります。
大手の派遣会社の担当者であればそのようなことは滅多に無いと考えますが、人間ですから。
派遣会社によって違いますが、担当者は基本的には事業所ごとに配置されているでしょう。
事業所の立場から考えると、担当がコロコロ変わっては困りますから。
改めて他の求人を紹介してもらえば、違う担当者となるでしょう。
ただし、エリアで配置されている場合やいくつもの担当を受け持っている場合は、また同じ担当者になる可能性があります。
その場合は、派遣会社に正直に問い合わせるか、他の派遣会社にしましょう。
それこそ、大手でいくつもの事業所を受け持つ担当者であれば優秀でそんなことは無いと考えますが。
もちろん、事業所との面談は仕事の内容や待遇についてしっかり確認することが目的です。
しかし、担当者とのコミュニケーションが重要だということも念頭に置きましょう。
⑤半年間勤務する
真面目に勤務します。
遅刻は厳禁、欠勤もやむを得ない時以外はしない。少なければ少ない程良しです。
当たり前のことと感じるでしょうが、この事実が大切です。
派遣社員の担当者が定期的に訪問してくれるので、そこでもコミュニケーションを重ねましょう。
もし不満があれば理由をしっかり伝えましょう。
ただの文句ととられてはいけません。
担当者からの印象が大切です。
そして、不満があっても辛くても半年は続けます。
特に基準がある訳ではありませんが、半年というのは最低限の区切りです。
そして、派遣社員として次の決断を行うのに違和感の無い期間だと考えます。
実際に私がそうでした。
派遣社員ではなく、正社員として働こうという気持ちが固まったのがこの期間でした。
⑥正社員を希望して退職する
派遣会社の担当者に退職の意向を伝えます。
当然、引き止められます。
派遣会社としては、真面目に勤務してきた貴重な存在を逃したくありません。
そこで、コミュニケーションを重ねてきた担当者にしっかり理由を伝えましょう。
「派遣ではなく正社員として働くことを決心した」と。
この理由であれば、引き止めることはできません。
もし1社目で働く中で、正社員登用の話が出て不満も無く自分が続けていける職場だと判断した場合は別です。
そんな上手くいくことはなかなか無い飛び級ですが、それに越したことはありません。
予定していなかったにもかかわらず、優秀だと判断した派遣社員を正社員に登用する柔軟性をもった事業所であればぜひそのまま正社員を目指しましょう。
しかし、繰り返しますがそれはなかなか無いことです。
⑦正社員となる前提で派遣会社から新たな求人を紹介してもらう
派遣会社の担当者とここまででコミュニケーションをしっかりとれていれば、もうあなたは正社員登用を前提として高い条件で紹介を依頼している事業所に紹介したい人材になっています。
正社員を目指して転職活動を行うこと、正社員登用を前提とした事業所があれば紹介して欲しいことを伝えましょう。
タイミングが良ければ、1つ目の事業所にまだ勤務している時点で次の話があるかもしれません。
派遣会社の立場からすれば、真面目に勤務する人材を逃したくないし、途切れずに派遣したいのが当然です。
タイミングもありますが、ここで派遣会社が大手であるか?製造業に特化しているかどうか?というポイントが重要になります。
派遣から正社員になることは、全体で見れば狭き門に見える数字ですが、それはその方法を目指す人材がいないという理由があるからです。
製造業の現状を考えれば、正社員を前提とした即戦力の人材を必要としている事業所は必ずあります。
⑧事業所との面談に連れて行ってもらう
人材を選定するのは派遣会社であり、派遣先の事業所ではありません。
この時点でもう事業所の立場からは、ぜひ入社して欲しい人材になっています。
1社目と同じく確認程度の簡単な面談になりますが、その時よりも確認することが増えるのと、その確認が重要になることを念頭に置いて事業所へ向かいます。
⑨本当に社員登用が前提なのかを確認する
社員登用制度があるかないかが問題ではありません。
データから、どちらの事業所でも派遣社員を正社員に登用した確率は同じです。
実際に今回の自分が、正社員を求める手段としての派遣採用なのかを確認します。
逆に言えば、自分が正社員を目指して転職活動をしているという決意とやる気を表すことにもなります。
事業所は採用を判断する場ではありませんが、入社後の評価にも繋がるのでしっかりと確認しましょう。
また、前の事業所を退職した理由が『正社員を目指すため』という前向きなものだったということも同時に説得力が増します。
派遣会社の担当者もそこで勤務態度や意思の強さについて後押ししてくれるでしょう。
その後押しに説得力が出る最低限の勤務期間が、前述した半年間です。
派遣会社の立場からも、そこは事業所が求める人材を紹介できるというアピールの場となります。
繰り返しますが、事業者がここで採用不採用を判断することはありませんが、お互いの意思を確認する重要な場となります。
⑩勤務しながら正社員になるべきか判断する
実際に勤務することでしか分からないことが沢山あります。
正社員になることが前提で入社しているので、仕事の内容は正社員と同じであるはずです。
その仕事を自分が続けていけるのかどうか?
また、人間関係も重要です。
経験上、事業所によってこんなにも違うのかと驚くほど、職場の雰囲気は違います。
いくら仕事内容が合っていても、人間関係が上手くいかなければ仕事を続けることは辛くなります。
それを実際に勤務することで判断できるのが派遣で入社するメリットです。
正社員になる前提で入社しても、再転職のハードルは低くなります。
その場合は、⑦に戻ります。
しっかりと派遣会社の担当者とコミュニケーションがとれていれば、問題ありません。
実際に勤務して、ここで正社員になりたいと判断したら、あとは前進あるのみです。
⑪勤務しながら正社員になる意思と行動を見せる
正社員登用を前提としているので、当然正社員と同じ業務を行うはずです。
1日でも早く正社員になるためには、正社員である同僚以上の評価を得ることが大切です。
「まあ、問題無いからゆくゆくは」
という評価では、ダラダラと時間が流れて派遣法のリミット3年が経ってしまうでしょう。
なぜなら、派遣会社の立場から考えればできるだけ長く派遣社員でいてもらいたい。
事業所の立場から考えても派遣社員のままの方がコストが低い。
この段階まで来ると、派遣社員のデメリットとの戦いになります。
同じ仕事をしていたとしても、派遣社員はボーナスが出ません。
職場のイベントに参加できない。
様々な補助が出ない。
などのデメリットもあるかもしれません。
しかし、それはこの段階へ来るまでの大きなメリットを考えれば耐えるべきです。
1日でも早く正社員になるしかありません。
「すぐに正社員になってもらいたい」
そう評価されるような意思と行動を見せましょう。
そもそも、このブログにたどり着いてこのページのここまで読み進めている時点で、行動力と問題解決能力が備わっている人材に間違いありません。
周りの正社員以上の評価を得るのは難しいことではありません。
プラスアルファの具体的例としては、派遣社員でありながら資格を取得することがあります。
製造業では様々な資格が必要な場合があり、資格取得は分かりやすい評価の対象です。
私も、派遣社員の期間で2つの資格を取得しました。
正社員ではないので自費で受けなければなりませんでしたが、その分祝い金の増額がありました。
そして何より分かりやすい正社員になる意欲のアピールとなりました。
製造業に関わる資格についてはさらに詳しく解説します。
派遣会社の担当者からは「3年我慢してね。」と言われていましたが、実際はそのような縛りはありません。
事業所も、元々は人材不足で正社員になれる人材を求めていたわけです。
正社員にしてコストが上がるよりも、派遣社員という身軽な立場のままで退職してしまうリスクの方が恐いとなるように行動しましょう。
繰り返しますが、このブログにたどり着いている時点でその能力がある人材に間違いありません。
⑫事業所ごとの手順を踏んで正社員となる
ここまでくれば、あとはタイミングだけです。
私は1年5か月後に派遣から正社員登用となりましたが、そのタイミングが4月だったからで具体的な正社員の話はもう入社から1年後には出ていました。
もっと優秀な人であれば半年でも可能でしょう。
実際に現在製造業の事業所で係長をしている立場としてそう考えます。
その事業所ごとの手順を踏んで正社員になります。
私の場合は、改めて筆記試験を受けて採用となりました。
人事担当者から「あくまでも形上の試験」と言われて受けた簡単なものです。
まとめ
最短と言いながら、長い道のりに感じるかもしれません。
しかし、振り返れば短い期間だと思えます。
転職を繰り返してこの先どうしようかと全く将来が見えていなかった立場から、正社員として定着する場所を見つけたという人生における大きなポイントとすれば尚更です。
何度経験しても就職・転職には大きなパワーを使います。
自分に合わない職場に正社員で就職・転職してしまうのは悲劇です。
飛び級でもっと短く成功するならばそれは素晴らしい結果ですが、この流れを参考に1人でも多くの人が製造業で派遣から正社員になることを願っています。
そして、派遣出身係長としては1人でもそんな人材が1日でも早く派遣会社から紹介してもらえることを熱烈希望しています。
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