2017年に行われた厚生労働省による派遣労働者実態調査。
派遣労働者からの苦情についても調査されています。
この結果は最も信憑性の高いデメリットということになります。
製造業で派遣から正社員になることを推奨する身としては、これを無視する訳にはいきません。
派遣で入社して1年5か月で正社員となり現在係長という経験から、調査結果について考察します。
目次
派遣労働者からの苦情【2017年厚生労働省調査】
※こちらの厚生労働省HPを参照しています
https://www.mhlw.go.jp/toukei/itiran/roudou/koyou/haken/18/index.html
調査結果
苦情の申し出の有無割合
●苦情の申し出が無かった92.1%
●苦情の申し出を受けた 4.8%
●不明 3.1%
苦情の内容別割合
●1位 人間関係・いじめ・パワハラ54.4%
●2位 業務内容27.7%
●3位 指揮命令関係24.9%
●4位 セクハラ11.4%
●5位 就業日・就業時間・休憩時間・時間外労働・休暇9.1%
●6位 安全・衛生5.8%
●7位 派遣期間3.2%
●8位 個人情報の保護0.4%
●9位 妊娠・出産を理由とする不利益な取扱い・ハラスメント0.1%
●その他12.9%
結果の考察
苦情の申し出の有無
派遣社員からの苦情を受けた割合は4.8%。
この結果は低く感じます。
不満があっても派遣社員という立場上の覚悟があるために苦情を申し出ないという点もあると考えます。
現に、正社員の方が派遣社員やパート従業員と比べて不満が多いという結果を聞いたことがあります。
それにしても低い割合だと感じますが、その内容について考察していきます。
苦情の内容
人間関係・いじめ・パワハラ
54.4%で1位。
断トツの割合です。
しかし、これは派遣社員に限らず正社員でも同じ問題です。
「派遣だから」といじめを受けたり、パワハラを受けたりすることもあるでしょう。
しかし、そんな職場は派遣社員でなければその理由が変わるだけです。
むしろ、派遣社員は外部である派遣会社の担当者に相談できるし、派遣から正社員を目指す上での『実際に働いてみて判断できる』というメリットが生きてきます。
そんな事業所に正社員で入らなくて良かった。次に切り替えましょう。
業務内容
27.7%で2位。
これも正社員でも同様の問題ですが、派遣社員ということでやりたい業務をやらせてもらえないということはあるでしょう。
しかし、それは派遣社員全体での話。
正社員を目指して、それを前提にしている場合は、正社員と同じ業務を行うはずでその不満は出てきません。
そうではなく、その事業所の業務自体が実際に勤務して自分に合わないと分かったのであれば、これも派遣社員のメリット発動となります。
苦情を言い続けるよりも次へ向かいましょう。
これができるからこそ、苦情の申し出の有無で有り4.8%という低い結果なのだと考えます。
指揮命令関係
24.9%で3位。
これはどういったことを指しているのかよく分からない項目です。
派遣社員だから不等な指示命令を受けるということでしょうか?
派遣社員には指示命令が行き届かないということもあるかもしれません。
これも、正社員になることを前提にしていれば無いと思われる問題です。
そして、その前提でも指示命令に問題があるのであれば、その事業所で勤務し続けるのか考えるべきでしょう。
セクハラ
11.4%で4位。
1位と同様です。
派遣社員が弱い立場だと思い込んでいる人物からセクハラを受ける可能性はあります。
しかし、そんな人物は派遣社員がいなければ他の理由で違う人を狙うだけです。
受ければ当然苦情を言うべきですが、派遣社員ならではの問題ではありません。
就業日・就業時間・休憩時間・時間外労働・休暇
9.1%で5位。
社員の勤務状況について、企業の管理体制はどんどん厳しくなってきています。
そのしわ寄せが、派遣社員に降りかかっている可能性はあります。
勤務時間管理がどんどん厳しくなっている現状から推測ができます。
派遣社員はあくまでも派遣会社の労務管理となるので、派遣社員に予定外の勤務を充てやすいという考え方もできます。
そういった不満が発生しないためにも、対応のしっかりできる大手の派遣会社を選択するべきでしょう。
安全・衛生
5.8%で6位。
これも正社員と共通の問題です。
派遣社員だからと安全・衛生面で違いがあるような事業所はもってのほかです。
派遣期間
3.2%で7位。
予定の期間より早く派遣期間が終了となったという苦情が主でしょう。
これは派遣社員のデメリットで、それができるから派遣社員を扱うという事業所もあるでしょう。
しかし、正社員になることを前提でそれをしっかりと確認して勤務した場合はこの問題は発生しません。
個人情報の保護
0.4%で8位。
具体的にどんな不満なのか難しいですが、正社員と共通の問題でしょう。
こちらも企業として重要で厳しく管理しなければいけないことです。
勤務してみて問題のある事業所だと分かったのであれば、派遣社員のメリットと捉えて切り替えましょう。
妊娠・出産を理由とする不利益な取扱い・ハラスメント
0.1%で9位。
正社員以上に、派遣社員が不利益な取り扱いを受ける可能性はあります。
しかし、今の時代にそのような事業所は問題外です。
苦情を申し出た4.8%のうちの0.1%とはいえ、そんなことがまだあることに驚きます。
可能性は非常に低いですが、社風として妊娠・出産に対する意識が時代遅れではないか?というのも実際に勤務してのチェックポイントになるでしょう。
まとめ
派遣社員ならではの苦情は7位『派遣期間』のみ。
他は、たとえキッカケが派遣社員だからだとしても、正社員でも同じく問題になる内容でした。
また、正社員になることが前提になっていれば起こらないと思われる問題もありました。
派遣から正社員になる前提で入社して、実際に勤務して正社員になるべきかを判断する。
この方向性が重要です。
それが改めて分かる結果だと考えます。
また、派遣社員は派遣会社の担当者に相談ができます。
そのメリットも生かすべきでしょう。
派遣会社の選択も当然の重要ポイントです。
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